朴念仁の戯言

弁膜症を経て

2018-04-01から1ヶ月間の記事一覧

際立つ日本女性

今回は脳の進化と生物についてです。人の脳は生物の進化の過程に応じ3層構造になっています。 まず人の脳で最も深層に存在するのは、呼吸や生殖など個体と種の保存に関わる「爬虫類脳」で、中脳や脳幹、脊髄に当たります。 次に中間層の大脳辺縁系には喜怒哀…

心の深淵に潜むもの

夏休みを一週間ほど取り、父の墓参りに三春町に帰省し、元気な95歳の母とゆっくり語り合う時間が持てた。猛暑が続こうが、集中豪雨に見舞われようが、人は自然の営みに対しては謙虚に受け入れ、嘆くことはしないというのが私の生き方だ。 かつて検察官を長く…

死ぬということ 生の輪廻の一つ

孤独死の現場に仕事柄よく立ち会います。アパートの一室で人知れず息を引き取り、死後数週間たって発見されました。初老ともいえない若い男性が多いようです。 ほかのNPOの寮から私の運営する寮へ転入された人が、亡くなる数週間前から昼でも夜中でも「おー…

隣席のしずかな涙

本格的に小説を書きはじめたのは22歳になるかならないかといったあたりのことだが、それ以前から、私は将来当然小説を書くのだと思い込んでいた。 はじめにそう思い込んだのは、幼児のころだ。なぜそんなことを思ったのかわからない。私は絵本が好きで、母親…

それでも感謝

「感謝なんて、とんでもない」としか思えない出来事があるものです。私が50歳でうつ病にかかり、「神さま、なぜ、どうして」と詰め寄りたくなった時も、そうでした。 「何も出来ない。死んだほうが良い」とさえ考えた私を、病院の一人部屋に置いておけないと…

人が人に残すものとは

愛する。傷つける。いたわる。人と人との関係には、さまざま形がある。作家の千早茜さんは連作短編集「あとかた」(新潮社)で「残すこと」をテーマにした。関わりの残骸を、情感豊かに描く。「人に何かを残したい人や、残されたものを消したい人、残せなか…

樹木葬墓地を訪ねて

車窓に映る緑の色が北上するに従って、若くなっていく。私が暮らす東京では、すでに夏の色になりつつあるのだが。季節を逆にたどるような感覚を味わいながら、ふと思う。人の一生にも、こんな風に時をさかのぼる特別な日があるといいのに。そうしたら、見送…

見習いたい母 背を見て育つ

生きていれば120歳になる母は、20歳過ぎで農家に嫁ぎ、8人の子を育てました。物がない時代、12人の大家族を守っていました。育ち盛りの子どもたちを、決して空腹にはさせませんでした。学校から帰るといつも、囲炉裏に焼きおにぎりがあり、醤油の香りが漂っ…

「小説とは人間を書くこと」

作家の平岩弓枝が、50回目の節目を迎えた「長谷川伸の会」で、師である長谷川の思い出を語った。平岩は「小説とは物語を書くのではなく、人間を書くことだ」という長谷川の言葉を紹介。「先生が亡くなって50年がたった。世の中も文学の世界も変わったが、こ…

豊かな心を養う

私たちの修道院は、大学内の建物の一つの4階にあります。したがって出勤する時、修道院に戻る時には、小さなエレベーターを使います。そんなある日、ふと、気がつきました。 私は、目指す階のボタンを押してから、すぐに隣の「閉」というボタンを指で押して…

未来を切り拓く鍵

すでに卒業式も終わり、多くの子供たちや若者たちが母校を巣立っていったことでしょう。震災から二年余り、今年は一人一人がどんな想いを胸に巣立っていったのでしょうか。「旅人の 宿りせむ野に 霜降らば 吾が子羽包(はぐく)め 天(あめ)の鶴(たづ)群…

輝いていた時代生きる

長年農業に携わってきた80代の男性は、早朝から起き出して仕事をする働き者だ。まだ暗いうちから味噌汁を温めようと鍋をガスコンロにかけるが、忘れて水分がなくなる。ピーピーと警告音が鳴って火が消えるが、鍋は黒焦げ。家族は警告音で目覚める。一方、本…

私とロザリオ

「祈りを唱える人ではなく、祈りの人になりなさい」。これは、マザー・テレサが言われた言葉です。 1984年11月も末のことでした。この日マザーは、もう一人のシスターと一緒に朝早く新幹線で東京を発ち、原爆の地、広島へ旅されました。そこで平和、祈りにつ…

現代の「ひじり人」たち

「おくりびと」という言葉が流行語のように使われている。青木新門さんの「納棺夫日記」が発端だった。「納棺夫」とは死者の体をきれいに拭って、お棺に納める人のことだ。青木さんは長い間、その仕事に携わっていた。本を読んで青木さんと交流を持った本木…

宇宙ごみ対策 日米協力へ

宇宙空間を漂うごみが人工衛星などに衝突する事態を避けるため、レーダーなどで観測した宇宙ごみのデータを共有し、監視を強化することに、日米両政府が合意したことが22日に分かった。宇宙開発の障害となりかねないほど増え続けるごみに対処するのが狙い。…

部下は「地獄の中の菩薩」

東京電力福島第1原発事故で収束作業の陣頭指揮を執り、食道がん療養のため昨年12月に退任した吉田昌郎前所長(57)が、復興をテーマに福島市で来月開かれる出版社主催のシンポジウムにビデオ出演することが24日に分かった。約30分にわたるビデオ映像で、吉田…

小さければ小さいほどよい

私はすでに70歳を超えた。異なるジャンルの仕事をかなり乱暴に渡り歩き、そこそこの世俗的成功と、その10倍ぐらいの失敗を重ねてきた。保障もなく厳しい競争にさらされる仕事ばっかりだったが、その分スリルと快感も味わった。そして今、人生レースの最後の…

角隠して嫁入り 家族守り大きく

猪苗代町で生まれ育ち、北塩原に嫁いだ。子どもたちが幼い冬、実家の母と嫁ぎ先の義父が入院した。私は長男に嫁いだ責任がある。心で母を思い、義父の看病に通い続けた。入院から半年、義父が亡くなり、主人が母のところに通わせてくれた。その半年後、実母…

父親は自らの生き方で語る

6月の第三日曜日は「父の日」でした。言うまでもなく、この日は子から父親に感謝を表す日ですが、今日は、反対に父親の立場からみた「父の日」の意義、つまり父親の役割は何か、父親は子に何を語るべきかについて考えてみましょう。古来、我が国では「厳父慈…

人間の生に対する執着知る

死刑―。教誨室と前室には死刑確定者の信仰に対応して仏教、キリスト教、神道の祭壇を飾る。ここでは教誨師が説教、説話を行い、引導が渡される。執行の日は朝、首席矯正処遇官が確定者にこれから死刑を執行することを告げる。この宣告に対しては恐怖のあまり…

たった一日だけのクラスメート

ある時、有名な画家が、頼まれて近所の少年に絵を教えることになりました。しかし、画家はすぐに絵を描かせることをせず、代わりに花の種を蒔いて育てさせました。やがて土の中から目を出した苗に、少年は水をやり一生懸命に育てました。しかし、画家は一向…

母にささげる「ありがとう」

「禽獣(きんじゅう)は 命をかけて 子を護(まも)る 子に報いよと 言う親はなし」。私の近詠である。私が生まれる前、母は4人の子を亡くした。人手がほしい農家で、夫や姑の手前、どんなにつらかっただろう。両親は私に丈夫と名付けた。私は病気で入院した…

生きること 生かされていること

生命科学によれば、人間に生まれてくることは「一億円の宝くじを百万回連続してあてることよりも難しい」のだそうです。「ありがたい」という言葉は、本来、「有る事、存在すること」自体が難しいので「有り難い」という訳ですが、この意味において、人間で…

自律神経バランスよく

健康を左右 自分でコントロール可能健康はバランスで決まる―。一瞬の判断と処置が患者の命に関わる外科手術の経験から、順天堂大学医学部の小林弘幸教授は自律神経の重要さを実感し、研究を続けてきた。「自律神経は身体の危機管理システム。自律神経をコン…

歩々是れ道場

今日は5歳の誕生日。おぼろげに目を開けると、まばゆい光の中に私の顔を覗き込む3人の顔が見えた。「あっ!起きた!起きた!目、覚ました!」誰彼となく、声が聞こえた。身動きできない身体が、自分の置かれている状況を私に教えた。その時、思うように動か…

同じ状態はつづかない

去年死んでいたら、この未曾有の悲惨な災害は見ずにすんだのにと思ってしまいます。たまたま私は昨年11月から背骨の圧迫骨折で入院したり、自宅で療養をつづけていて、自分の足で歩けなくなっていたので、これまでのように、すぐ現地に飛んでいって被災者を…

罪深い少年期の行為に贖罪思う

人生の終点において、人は誰でも一生の締めくくりをしなければならない。一生を振り返ったとき、反省のない人は皆無だろうが、私にも決して忘れ得ない思い出がある。一つは戦争の殺戮の場であり、もう一つは少年期の行為である。国家権力による戦争参加は誰…