朴念仁の戯言

弁膜症を経て

思想

令和4年、新年に想う

会話の間を埋めようと、その場凌ぎの言葉を発するな。 昨日、弟と電話で新年の挨拶を交わしてまたしてもそう思った。 無駄に饒舌になってしまう。 だから昔から電話で話すのは好きではなかった。 身内以外の人間と対面して話す時もそうだ。 間を気まずく感じ…

月の満ち欠け

先日、書店で久しぶりに本を購入した。2時間近く物色し、あらかた買う本を定め、あと一冊買うかどうか迷っていた。三巡目だったろうか、もう一度手に取り、出だしの文章に目を通して、「ものは試し」とそのままレジに進んだ。買うことにしたのは岩波文庫の装…

現世は一時の足留め

シカは、英世と再会して3年後の大正7年11月10日に世界的に流行したインフルエンザにかかり亡くなった。そのことを知った英世は翌年の2月に恩師小林にその思いを手紙にした。 「3年前に母と別れた時に、母はいつ死んでも心残りは多くないと申しておりました。…

質素な中に無限の可能性

冷蔵庫もない節電生活で注目されている元新聞記者の稲垣えみ子さん。近著「もうレシピ本はいらない」(マガジンハウス)で、自分で作るご飯、みそ汁、ぬか漬けといった「早くて安くてうまい」食事を心から楽しむ暮らしを軽妙洒脱な文章でつづり、「質素な中…

人間中心でいいのか

田んぼの中を、数え切れないほどの黒いオタマジャクシが泳ぎ回っている。「この水田に5万匹いる計算になる」福岡県糸島市の農家、宇根豊さん(67)が田植えから10日ほどたった6月18日、笑顔で話した。田に足を踏み入れ、目を凝らすと、小さな虫がたくさんい…

世界に種をまき続け

1890年7月27日午後、ゴッホは野外制作に出かけた麦畑の近くで、胸を拳銃で撃ち自殺を図った。医師ガシェからてんかんが「不治の病」と告げられ、このままではいずれ絵が描けなくなると悲観した画家の、覚悟の上の行為だった。弾は急所を外れ、彼は出血する胸…

それでも感謝

「感謝なんて、とんでもない」としか思えない出来事があるものです。私が50歳でうつ病にかかり、「神さま、なぜ、どうして」と詰め寄りたくなった時も、そうでした。 「何も出来ない。死んだほうが良い」とさえ考えた私を、病院の一人部屋に置いておけないと…

多読に警告 まず思索を

人生の大半を読書に時間をつぶす人間が結構いるが、ぼくは45歳まであまり読書をしてこなかった。そんなぼくよりさらに上がいた。映画監督のフェデリコ・フェリーニである。彼は50歳まで読書をしなかったという。すると彼のあの想像力にあふれた天才的な映画…

人間は死んでもまた生き続ける

仕合わせ人は、一人ではしあわせになれない。お互いに仕え(つかえ)合い、支え合ったときにしあわせという状態が訪れる。「幸せ」とは本来、「仕合わせ」と書く。 自分は善人だと思っている人は救われない「善人なおもて往生をとぐ、いわんや悪人をや」親鸞…

世界の先住民族の叡智を見習う⑤

韓国の初代文化大臣を勤めたイ・オリョン氏は、日本文化は、物事を小さくして、豊かな生活ができる仕組みを作り出した世界でも珍しい文化だと述べています。私は二年前、千玄室氏にお目にかかり、「茶道とは何ですか」と率直にお聞きしましたら、「一杯の抹…

世界の先住民族の叡智を見習う④

最後に、アメリカインディアンですが、150以上の部族があるといわれており、彼らにも他の先住民族同様、土地を所有するという概念がありません。アメリカ西海岸に住んでいたある部族が、移住してきた人々に土地を譲るように言われたとき、酋長は全く理解でき…

世界の先住民族の叡智を見習う③

次には、スカンディナビア半島北部の北極圏に広がるラップランドに住むサーミ族ですが、祖先は1万年くらい前に南からトナカイを追って来たといわれております。彼らは、トナカイの移動と共に一緒に遊牧していましたが、現在では定住し、遊牧している人々はい…

世界の先住民族の叡智を見習う②

最初に、ニュージーランドに住むマオリ族ですが、1000年程前に、太平洋のどこからか渡ってきた民族といわれています。18世紀にイギリス人がニュージーランドに到来し、かなり迫害されましたが、最近は力を取り戻しつつ、神から与えられた土地を守り、神々の…

世界の先住民族の叡智を見習う①

東京大学名誉教授 月尾 嘉男さん 地球の環境問題は憂慮すべき状態になっております。その原因は三つあると思われます。一つは、ある特定の信条を信じるかどうかで人間を判断し、世界を征服してきた「一神教」という宗教です。二つ目は、17世紀以来、「西洋科…

命(めい)を知る者は天を怨まず

知命者不怨天、知己者不怨人 『説苑(ぜいえん)』 後半は「己(おのれ)を知る者は人を怨まず」。命(めい)は、天が定めためぐり合わせ。天命。天命を知る者は、何事も天の定めたことで、人の力ではどうにもならないことだからだと考え、天を怨まない。自…

天道(てんどう)は親(しん)無(な)し。常に善人に与(くみ)す。

天道無親 常与善人(老子 道徳経第79章) 天の道、つまり神のみ心というものには、誰々に特別親しくする、というような個人的な心はなく、定められた法則の通りに働くのだから、天の道に叶った、大宇宙の法則に叶った人々に大きな力が働きかける。天の道に叶…