朴念仁の戯言

弁膜症を経て

2018-10-01から1ヶ月間の記事一覧

「英知と無知」感じる

池内 了(いけうち さとる)著 科学は、どこまで進化しているか 宇宙に終わりはあるのか。地球以外の星に生命は存在するか。地震や火山爆発の予知は可能か。原発の危険性の本質とは。人類が滅ぶとしたら、何が原因か…。天文学者で宇宙物理学者の池内了(1944…

言葉は私たちのもの

大野 晋(おおの すすむ)著 日本語の年輪 「言霊」という言葉がある。言葉に宿る不思議な力のことだ。私たちの祖先は言葉に敏感で、恐れ、大切にしてきた。結婚式では「別れる」「切れる」といった「忌(い)み言葉」をさけ、受験生には「落ちる」「すべる…

命の発言権

子どもたちの夏休みも終わりですね。お母さん方の暑くて忙しかった日々も、ほんの少しホッとできるのではないでしょうか。8月になると例年メディアはこぞって「戦争」をテーマにした、いろいろな話題を様々な角度による切り口で取り上げます。「戦争」はまる…

霊になった上皇を慰める

西行 平安時代末期の1156年、元天皇の崇徳(すとく)上皇と弟の後白河天皇による争いから、天皇を支える摂政、関白を出していた公家の藤原氏、武家の源氏と平氏がそれぞれ分裂して内乱の「保元(ほうげん)の乱」が起きました。呆気なく敗れた崇徳は今の香川…

絶望 極寒のシベリア 

おい、おかしいぞ。俺たちは、だまされたのか-。太平洋戦争が終わり、二カ月が過ぎた昭和20年10月。朝鮮でソ連軍の捕虜となった久保田親閲(しんえつ)さん(86)=田村市大越町=ら帰還兵を乗せた船は朝鮮・興南の港から一路、日本を目指していた。ところ…

頑固な決意

電車のシートに掛けて、辺りを見回すと、なんと多くの人が携帯電話やスマホの画面をじっと見ていることでしょう。先日は私の隣に掛けていた4人家族全員がスマホを操作し、それぞれの目の前に表れるものに没頭していました。30代後半のパパとママ、そして子ど…

業と信念の作家人生

車谷長吉氏が突然亡くなったと聞き、驚いた。食べ物を喉に詰まらせた窒息死だというから、突発的な事故だったのだろうか。あの強烈な文章がもう読めないのかと思うと、今後の日本文学がひどく退屈に感じられる。こんな作家はもう二度と現れないだろう。大家…

兵隊は消耗品だった

1938年と43年の二回召集され、中国やビルマ(現ミャンマー)などに従軍した。私は一兵卒だったが、弟の収吾は士官学校を出た少尉で、同じ歩兵第128連隊に所属してビルマにいた時に亡くなった。軍隊は「兵隊は使えるだけ使え」という主義で、ほんまの消耗品だ…

苦しみ背負う人 忘れないで

汚染された魚介類で神経障害を発症した水俣病患者を描いた「苦海浄土(くがいじょうど)」で知られる作家石牟礼道子(いしむれ・みちこ)さん(88)=熊本市=が、共同通信のインタビューに応じた。水俣病は5月1日で公式確認から59年。被害の全容はつかめな…

特高からひどい暴行

伊藤博文が殺された1909年、三重・伊勢の漁村に生まれ、13歳で大阪の商店へ奉公に出た。クリスチャンの店主夫婦が教会に連れて行ってくれ、夜学にも通わしてもらって。トルストイなんかの本にも接することができて、普通の小僧さんよりはいくらか変わっとっ…

餓死の島 生き延びる

その先どうなるか分からなかったけれど、うれしくて涙が出た。駆遂艦(くちくかん)で南太平洋のガダルカナル島を撤退したのは1943年2月7日の深夜。勇ましく、「隣の島までやっつけてやれ」と上陸した私たち一木支隊は、飢餓と感染症で骨と皮だけの姿に変わ…