朴念仁の戯言

弁膜症を経て

2017-04-01から1ヶ月間の記事一覧

南極と犬

歩み来て、未来へ 12 観測に貢献、危険察知 10㍍先に2匹の犬がいた。毛が伸び、子グマのように丸くなっているが、確かに置き去りにした犬だった。近寄って来ない。こちらも足を踏み出せなかった。 1956年の第一次南極地域観測隊で犬ぞり係だった九州大名誉教…

とてつもない巨人、利休

直木賞に決まって 山本 兼一 このたび、「利休にたずねよ」という作品で、第140回の直木賞をいただくことに決まった。まことに光栄なことだと感謝している。 歴史小説を書くにあたって、わたしは、できるだけ綿密な取材をすることを信条としてきた。 松本清…

若いころ下向いてた

老いの哲学⑧ 俳人宇多喜代子(うだきよこ)さんが語る 私が直接、俳句習った桂信子いう人に「一本の白髪おそろし冬の鵙(もず)」いう句があるけど、老いは不意打ちに来ますわね。じわじわ来るようである日、突然。こないだも私の後ろ姿を写真に撮った人がお…

人間弾圧の象徴、復元を

歩み来て、未来へ ハンセン病重監房 足元にある食事の差し入れ口から骨と皮だけの手が突き出ていた。それが右に左に泳ぐ。しゃがんで声をかけた。「飯だよ。早く引っ込めて」。「あぁ?」。独房から男の声がして、一瞬、手の動きが止まった。だが、また宙を…

尺蠖(せきかく)の屈するは

尺蠖之屈、以求信也 『易経』 全体は「尺蠖の屈するは、以(もっ)て信(の)びんことを求むるなり」。尺蠖は、尺取り虫。信は伸と同じ意味で、のびる。尺取り虫が体を曲げるのは、伸ばそうとしてのことである、との意。尺取り虫が身を屈するのと同じく、人…

命(めい)を知る者は天を怨まず

知命者不怨天、知己者不怨人 『説苑(ぜいえん)』 後半は「己(おのれ)を知る者は人を怨まず」。命(めい)は、天が定めためぐり合わせ。天命。天命を知る者は、何事も天の定めたことで、人の力ではどうにもならないことだからだと考え、天を怨まない。自…