2017-02-01から1ヶ月間の記事一覧
随想「対話できる社会、そして優しさ」 人間は人々との対話の中に生きているのだとつくづく思う。今、失業者も就職活動をする若者たちも深い悲しみや絶望の中で「なぜ私たちは社会から必要とされていないのか?」と問い、その答えを待っているのではないだろ…
『歩み来て、未来へ1』出兵と抑留 シベリアで死者の歌に出合った。生きてて良かったね/わたしみたいにならなくて/小屋の中で焼き殺された/屋根に逃げても弾の雨/日本人のやったこと/日本人のやったこと…1919年3月22日。ロシア革命後の内戦に乗じた「シ…
『逆風に挑む ふくしまの技7 ものづくり脈々』大手に一矢報いる 創業からちょうど20年目の今年。東洋システム(いわき市)社長の庄司秀樹(47)は新年あいさつで県内外を飛び回りながら時々、忘れようにも忘れられないあの事件を思い出していた。 ■ ■「…も…
今日は母の誕生日。母に関する切り抜きを載せてみた。※以下、「情(こころ)を育(はぐく)む」(親子で読みたい教育の話)より一部引用。 話は変わりますが、以前、高校生が国語の授業で綴った一行詩「父よ母よ」が評判になりました。○母よ! あなたは嫌味…
『地球人間模様 @LOVE』駆け落ち(アフガニスタン) 部屋を出る時、父は何も言わなかった。そっと屋根に上ると、月明かりの中、村外れの丘に懐中電灯の白い光があった。今だ。屋根を下りて夢中で光に向かって走った。懐中電灯を手に暗闇の中に立っていた…
『ものづくり脈々5 逆風に挑むふくしまの技』家族は仕事の原点 「専門知識を持つ君が必要なんだ」。平成4年春、日大理工学部の男子学生を朝日ラバー(さいたま市)社長の伊藤巌は熱っぽく口説いた。今は会長となり74歳の伊藤は「社長業の三分の一は人材の…
『水の透視画法21』こころばえと憂愁… ことしの賀状はいつもの年とずいぶんちがって、気のせいか、文面や絵がらが重く沈んでいた。何通かはおきまりの祝詞を略して「暗中模索」だの「五里霧中」だの、およそ賀状らしからぬ文言でまえおきし、「めげずにが…
父への検体の申込書が届いたのは葬儀当日だった。近所の人に相談したら「おれたちには関係ない。家族で決めろ」とのことだった。「無駄な慣習はやめ、世のために何か尽くしたい」というのが父の遺志だった。気が動転している家族で即決できるわけがなく、父…
随想 これから厳しい冬を迎えますが、会津の冬といえば、真っ先に雪が浮かんできます。私たち会津に住む多くの人々にとって雪は、一般的にマイナスのイメージしかありません。しかし、視点を少し変えると、雪どけ水は落葉の分解を助け、岩石層を通してミネラ…
この十月に、妹が亡くなった。姉二人と実家の兄も二年前に亡くなっているので、きょうだい七人のうち健在なのは、私と末の妹だけとなった。年齢、体調からいっても「この次は私の番かな」と思っていた。先日、ある人にその話をすると「死ぬのは病気でもなく…
みにくい年月のゴマカシ 絵本「100万回生きたねこ」で知られる佐野洋子さん。今年70歳となり、雑誌では再発したがんとの闘いを明らかにしている。年を重ねていくことについて寄稿してもらった。 ◇ ◇年月に逆らう生き物がいるだろうか。がんばっているのは屋…
地下鉄音楽家(英国) 薄汚れた地下鉄構内を秋風が吹き抜ける。ロンドンの繁華街、サウスケンジントンに夜が迫っていた。それぞれの目的地へ急ぐ大都会の人波。通路に響くクラシックギターの調べが、風の冷たさを心持ち和らげていた。「ママー!」。英国のロ…
『日本人の美学12』時と場所 いつどこで、どのようにのし(熨斗)袋を使うのか。のし袋は思いがけないところで必要になってきます。「のし袋の上書きは御祝、寸志、御霊前の三つだけ知っていれば恥をかくことはない」と発言した人がいてびっくりしたという…
随想 やきものと会津の風土を考えた時、まず会津における国宝の文化財をみると、湯川村・勝常寺の薬師堂に安置されている薬師如来座像、日光菩薩立像、月光菩薩立像の三体と会津美里町の龍興寺(旧会津高田町)の「一字蓮台法華経開結共」があります。このす…
ソルジェニーツィンを悼む 「ソルジェニーツィンのことを手紙に書く場合はSとだけ表記しよう」。これが1972年にロシアの学生の一人と取り決めた暗号だった。手紙が国境で開封されることを予測しなければならなかった旧ソ連時代、「ソルジェニーツィン」とい…
画家の堀文子さんが語る「老いの哲学」② 昨年、入院いたしまして。熱でうなされていたら死に神が見えました。テナガザルのようなのが私の背中にしがみついている。絵描きなもんですから、映像人間なんでしょうね。〝死〟が形になって現れる。おもしろいです…
評論『楊逸さんに芥川賞』 日本文化の特徴が「情」であるなら、中国は「意」と「理」の文化になろう。性格の異なる二文化の間を越境するのは簡単ではないが、原理原則にとらわれない個人の感性を奔放に筆先に任せるありかたは、楊逸(ヤンイー)さんの芥川賞…
芥川賞に決まって 暑い夜だった。受賞の知らせを受けたときにその暑さで眩暈(めまい)し、電話を持つ手も震えた。日本に来て21年、人生の約半分の歳月がこの海に包まれた国の風に吹かれていった。しかしその瞬間、風のように跡形もなく消え去ったはずの歳月…
『水の透視画法』生きるに値する条件 むしむしする。シャツが肌にへばりつく。こんな状態のことを、お粥(かゆ)につかったみたいに…とかなんとか形容した人がいた。うまいことをいうものだ。でも、だれがいったのであったか。のどもとまででかかっているの…
弱者に寄り添う人権派 【ロサンゼルス共同】米西部ワシントン州シアトルの連邦地裁でイスラム圏7カ国からの入国を禁じる大統領令の一時差し止めを命じ、一躍「時の人」となったジェームズ・ロバート判事(69)は、難民や障害のある子ども、黒人ら社会的弱者…
若い世代へ励まし 酒井大阿闍梨が講演 比叡山の荒行「千日回峰行」を二度達成した酒井雄哉大阿闍梨(あじゃり)が大阪市内のホテルで「みのり」をテーマに講演。自身の体験談を交え「環境が変わると、人はよい方向に変わる」と若い世代に励ましの言葉を贈っ…
『オーガニックガーデンのすすめ』6 梅雨のひと雨ごとに、ぐいぐいと成長する草木。目を凝らせばこの時期、葉の裏に、枝の陰に、いろいろな虫がやって来る。虫を嫌う人は多いが、虫を知ることはオーガニックガーデンづくりの第一歩。人間以外の生き物の声が…
『水の透視画法8』幻夢かすめる通り魔 「殺すくらゐ 何でもない/と思ひつゝ人ごみの中を/闊歩(かっぽ)して行く」。高校の授業中に、こんな歌がのった本を教科書の下にかくして、どきどきしながら読みふけったことがある。「何者か殺し度(た)い気持ち…
『動物病院の四季6』ヒゲ獣医師の診療日誌 夏の最後を焼き尽くす太陽が朝からまぶしい。爺様(じいさま)がオンボロ自転車をキーコ、キーコと鳴らしてやって来る。老猫のタマは、荷台にくくり付けた段ボール箱から悠々と顔だけを出し、逃げようともしない。…
『水の透視画法7』サテンの手とことばと 月に二、三度とはいえ、もう一年も家にきてもらっているというのに、この人にはいまひとつえたいの知れないものを感じてしまう。駅のむこうから1.5㌔ほどの道のりを、体操着姿の彼はバッグ片手にすたこらかけ足でく…
宅配扱い丁寧に 「みんなのひろば」に「心も送る宅配便 手荒な扱い残念」という投稿が掲載されていました。本当にそう思います。娘が転勤先に住んでいた時のこと。正月の餅やこしあんなどを宅配便で送りました。しかし、届かないと言うのです。宅配業者に問…