朴念仁の戯言

弁膜症を経て

2019-11-01から1ヶ月間の記事一覧

見えない愛

昨年6月に東海道新幹線で乗客3人を殺傷した男(23歳)の初公判の記事が、今朝の朝刊に載っていた。男は、一昨年の12月に祖母の家を出た後、公園で野宿して過ごすうちに「社会で一人で生きていくのは難しく、刑務所に入りたい」と思うようになったという。「…

白鵬のあがき

意識して行っていようが、取組前の控えから土俵に上がっての所作が礼法のように一番整っている力士は白鵬だろう。横綱の風格が漂う。だが、勝ちに徹した取組は時に汚い。 今日、手負いの御嶽海に、よもや張り手やかち上げはないだろうと見ていたが、意に反し…

道化師

「健全そうな顔をしていても、多くの人が精神のきしみやたわみを抱えている。誰にも何らかの欠落や過剰なものがあり、どこかが狂っているというところから始めなければいけないのではないか」新刊出版に際して地元紙に掲載された作家・辺見庸氏の言葉が、昨…

苦悩の末に

私は23歳でマタギの世界に足を踏み入れたが、初めから自然や、自然との共生のことばかりを考えていたわけではない。むしろ、狩猟を楽しむ気持ちのほうが大きかった。転機となった出来事がある。30代後半ごろ、有害鳥獣の駆除で仲間と一緒に春先の山に入った…

緒方貞子さん「人間らしい心」

緒方さんとの交流のうち、強く記憶に刻まれていることがある。私がUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の駐日代表だった2007年、難民問題に関する緒方さんのインタビューが英字紙に掲載された。緒方さんは記事の中で、難民受け入れに消極的な日本の対応につい…

月の満ち欠け

先日、書店で久しぶりに本を購入した。2時間近く物色し、あらかた買う本を定め、あと一冊買うかどうか迷っていた。三巡目だったろうか、もう一度手に取り、出だしの文章に目を通して、「ものは試し」とそのままレジに進んだ。買うことにしたのは岩波文庫の装…