朴念仁の戯言

弁膜症を経て

2015-12-01から1ヶ月間の記事一覧

路上文学

いつもの朝、生キャベツをむしゃむしゃ喰いながらテレビを見ていたら「路上文学賞」の文字が画面に浮かんだ。 はじめて耳目に触れる言葉。 どうやらホームレスが書いた作品らしい。 大賞作品が決まったとか、作品名が紹介された。 作家の、星野智幸の顔が映…

男の終い仕度

「もっともっと生きたいように生きるべきではないか」 その言葉通り生きた安藤昇が十六日、肺炎で亡くなった。 やくざから俳優に転身し、晩年は気の向くままの執筆稼業。 やくざ時代全盛時には組員千人を束ね、その中には素手ゴロ最強と謳われた花形敬や、後…

火の車

金の工面に困窮している状況を火の車と言うが、本来は仏教語で火車(かしゃ)と言い、地獄で死人を運ぶ、火の燃えている車を意味する。 この世にはその乗り手がうようよと、どこまでも切れ目なく列なして待っている。 どの辺に私は並んでいようか。 それとも…

お布施

チリーン、チリーン。 職場での昼休み、どこからともなく鈴の音が聞こえてきた。 読んでいた本から目を離して聞き耳を立てた。 ラジオから流れてきたのか、スピーカーのほうを見やると目の端に正面玄関に立つ人影が映った。 玄関口を正視すると網代笠の僧侶…