朴念仁の戯言

弁膜症を経て

2021-01-01から1年間の記事一覧

一瞬の出会い

今から20年前以上になるが、仕事で作家の津村節子さんに会いに行くことになった。 当時の細かいところまでは覚えていないが、約束したその日、新幹線から乗り継いで中央線の吉祥寺駅を降りると、ジブリ美術館の文字が目に付いた。 辺りを見渡すと、そのため…

コロナ禍における温もり

触れ合い 温かさに安らぐ 私たちは今、コロナ禍で、身体接触を避けるように促されている。 でも、子どもはもちろん、大人だって身体接触は大事だ。心細いときほど、温かくて柔らかい、息づくからだに触れたいと思う。人肌に触れることで、緊張は和らぎ、昂ぶ…

故郷

死への助走を意識し始めた齢となり、何かの拍子に人生の一場面が思い出されることがままある。 楽しいことよりもむしろ後悔や口惜しい想いをした場面ばかりがやたらと思い出され、否応なしに負の感情が呼び起こされる。 寝る前にそれが起きると始末に負えな…

大転換の世にぴったんこ

昨晩、家事を終え、一息ついてテレビを見ていたら大口を開けた俳優らが何かを頬張っていた。 路線バスの運行時間帯に前もって決められた、評判の飲食店を廻り切れるかどうかの内容らしい。 男どもに混じって紅一点、三十路の女が次から次へとラーメン、ステ…

何もかも炙り出される世の中に

最近、本を読まない。 細かい字を目で追うのが面倒になったのもあるが、小説は特に読む気がしなくなった。 テレビは、と言えば、ゴールデンタイムの民放系なぞ害悪の極みで飽食のオンパレードに芸人のバカ騒ぎには目の毒とすぐにチャンネルを変えるか、スイ…

妙な予感

2011年2月22日、ニュージーランドでM6.1の大きな地震(クライストチャーチ地震)が発生し、日本人28人を含む計185人が犠牲となった。 翌月の11日にはM9.0の、日本の観測史上最大規模の地震(東日本大地震)が発生した。 そして、それから10年目となる今年、2…

街の灯

母の誕生日。 ささやかに妹と昼食パーティーを催し、母を祝い、寿司をほおばり、弟から送られてきた母への菓子箱を広げ、そのお福分けにあずかり、幸せなひと時を過ごした。 その後、映画を見た。 母は、昼食後の気持ち良さからか、リクライニングチェアでう…

施し、施されて生きる

胸裏の想いは、言葉にせねば独りよがりで終わる。 言葉にして我が耳に聴かせ、我が身体に沁み込ませる。 何度も何度も言葉にして心確かに、無意識の中に落とし込んでいく。 その内、無意識化された想いが無意識的に少しずつ行動に現れ、現実化していく。 巷…

夢うつつに

何故ここに居るのだろう。 通勤途中、車窓から見える田んぼ一面の雪景色に心浄められて、ふと思う。 夢うつつに漂い、少しずつ自分の存在が消えていくような不思議な感覚に包まれながら。 私が仕組んだ虚構の世界。 信号が青に変わり、現実に引き戻される。 …