朴念仁の戯言

弁膜症を経て

街の灯

母の誕生日。

ささやかに妹と昼食パーティーを催し、母を祝い、寿司をほおばり、弟から送られてきた母への菓子箱を広げ、そのお福分けにあずかり、幸せなひと時を過ごした。

その後、映画を見た。

母は、昼食後の気持ち良さからか、リクライニングチェアでうたた寝

チャップリンの映画は初めて。

名作らしい。

最後のシーンでホロっとさせられた。

ぼろぼろの服を纏い、愁いある面差しで一言も発せずにたたずむチャップリン

貧相な彼の手にコインを握らせようとするヒロイン。

彼の手に触れた瞬間、ヒロインは驚く。

そしてそれを確認するかのように、優しく彼の手の甲に指を滑らす。

ヒロインの顔に見る見る笑みが広がる。

名作だった。

妹も泣いた。

母の誕生日に偶々見たチャップリンの映画。

神さま、分かっていますよ。

どちらも。

無償の愛ということを。