朴念仁の戯言

弁膜症を経て

角隠して嫁入り 家族守り大きく

猪苗代町で生まれ育ち、北塩原に嫁いだ。子どもたちが幼い冬、実家の母と嫁ぎ先の義父が入院した。私は長男に嫁いだ責任がある。心で母を思い、義父の看病に通い続けた。
入院から半年、義父が亡くなり、主人が母のところに通わせてくれた。その半年後、実母が亡くなった。
その後子どもの闘病、原発風評被害と続くが「亡き母が笑顔を見せろと叱咤する、泣きべそかぐな、会津っ子だべ」。どんなにつらくても家族の前で笑っていた母に私も近づいているかな。
女性は角隠しの中に角を隠して嫁入りする。その角は家族を守るたびに大きくなる。私の角はかなり大きくなっただろうと思う。親が子を思い、子が親を思う気持ちは年齢に関係はない。幸せに笑っていてほしい。生きている限りその思いは心の中にある。
磐梯山日本ジオパークに認定された。故郷は幼なじみが守っている。私は安心して主人と子どもたちの故郷を守ることができる。

北塩原村の金子とく子さん61歳(平成24年7月3日地元紙掲載)