朴念仁の戯言

弁膜症を経て

楽しいはずの夏

すだれ越しに風鈴の音を聞きながらスイカを頬張る。
遠い思い出がよみがえる。
夏が好きなのは、店先に並び始めたスイカと深紅のイチゴのかき氷が大好きだから。
しかし、久々の猛暑の夏を楽しめなくなってしまった。
早朝の夏祭りの準備中、突然の高熱に意識を失い、救急車で運ばれた。
いつしか夏休みに入り、最大の行事「お日市」も町内会の皆さんの協力で無事終わったが、楽しみにしていた子どもたちとの昆虫教室はできなくなってしまった。

思えば15年前に救われた命だった。
以来、抱えてきた再発の不安がとうとう現実となった。
家族には叱られそうだが、つらく、切ない。
自分自身と家族の願いをもう一度かなえてほしい。
そして、せめて秋風立つ庭を巡りたい。

会津若松市の松下俊彦さん72歳(平成30年8月9日地元紙掲載)