朴念仁の戯言

弁膜症を経て

生死さまよう中 夢で救った恩人

以前、体調を崩し、大変苦しい思いをしたことがありました。
部屋のベッドで休んでいた時のことだと記憶しています。
まさに生死の境をさまよう状態でした。
その時、枕元に幻影が立ったのです。
私の頭の後ろを両手で抱きかかえるようにして、私の名を何度も何度も呼び、起こそうとしていたのでした。
ふと目を覚ますと誰もおらず、暗闇の中に、私一人でした。
夢か現実か、私は混沌とし、涙があふれるばかりでした。

実は私を目覚めさせてくれたのは、8年前に不慮の事故で天国へ旅立った人だったのです。
生前、個人は地域の人望を集めた、誠実で謙虚な方でした。
私は幼少の頃からお世話になってばかりいました。
「天国の恩人が私を救ってくれた」と思いました。

「晩酌はコップ酒が楽しみ」と語っていた故人の笑顔が忘れられません。
「あざみの歌」をこよなく愛した故人をしのび、命日に懇(ねんご)ろに合掌し、感謝の気持ちを届けました。

二本松市の折笠友一さん64歳(平成29年1月7日地元紙掲載)