朴念仁の戯言

弁膜症を経て

命を救う熱意に心を動かされる

私は父親を知らずこの世に誕生し、大人たちの偏見と、差別の中で子ども時代を過ごしました。私は国や行政を批判もしませんし、批判する価値がないと、何も期待しないで今まで生きてきました。
そんな、私の気持ちを変えたのは、いわき市保健所の獣医さんでした。私が初めて保健所に訪れたのは、平成18年の8月です。獣医さんは目の開かない子犬を自宅に連れて帰り、子犬と保健所に出勤して、昼食の時間も惜しんで、子犬を育てていました。
それが、1回や2回じゃなく、行くたびに同じことをしていました。公務員にも、小さな命を「救う」ために、情熱や熱意がある人がいるんだなと、感動しました。
「振る舞い」が人を感動させ「感動」が人を変えてくれます。どんなに立派な言葉を並べられたって、人の心は動きません。たった一人の人との出会いが、価値観や生き方さえも、変えてしまうことってあるんですね。
須賀川市高橋美和子さん54歳(平成22年8月29日地元紙掲載)