朴念仁の戯言

弁膜症を経て

The Wheel of Life 2

第1章 偶然はない

両親の推測によると、わたしはまじめに教会に通う、しとやかなスイスの主婦になるはずだった。

ところが、いざ蓋をあけてみると、なんとアメリカは南西部に居を定め、この世よりははるかにすばらしく荘厳な世界の霊たちと交信する、依怙地な精神科医、物書き、講演者として終わろうとしている。

現代医学は人びとに苦痛のない人生を約束する予言者にでもなったつもりらしいが、たわごとも甚だしい。

わたしが知るかぎり、人びとを癒すものは無条件の愛しかないというのにである。

 

~しかし、それまでの人生でも似たような隘路をまえに、ほとんど闇と化した地平線に目をこらして何かを探しつづけたことは何度もあった。

そんなとき人にできるのは、拒絶しつづけて責める相手を探すか、傷を癒して愛しつづけることを選ぶかのいずれかである。

存在の唯一の目的は成長することにあると信じているわたしは、後者を選ぶことをためらわなかった。