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朴念仁の戯言

弁膜症を経て

発症②

10月に入ってようやく仕事も落ち着いたが、またも心臓の異常を思い知らされる目に遭った。

その当時、付き合っていた女と情交の最中だった。

時折、胸を突くような心音を感じ、不規則に鼓動を打った。

そのせいかいつもより早く絶頂を迎え、交尾を終えた雄の兜虫のように、蛻の殻に成り果てベッドに横たわった。

女は不満そうに立ち上がり、風呂場に向かった。

天井を仰ぎながら、やばいな、と思った。と同時に、肌を重ね、相手の心音に異常を感じない女の無頓着さに幻滅した。

結婚という文字に、心臓と同じく、チカッチカッチカッと黄色の点滅が点り始めた。