朴念仁の戯言

弁膜症を経て

博愛主義 人々を救う

「7原則」基に世界で活躍
戦争は正義と正義がぶつかり合うときにしばしば起こります。ある人によっては絶対にゆずれない「正しいこと」であっても、別の人にとっては、まったく正しくないと思える問題はよくあります。国や民族の間で、このような「正義をめぐる対立」が深刻になると、戦争につながる場合も少なくありません。

■医療水準向上にも力
戦争、貧困、病気、環境破壊などの問題に対し「何が正義か」という立場から解決法を考えることは重要なことです。一方で、博愛という考え方で問題に取り組む人々もいます。国籍、人種、宗教などをこえて、悩み、苦しみ、傷ついている人々をとにかく救おうとする人々です。
博愛主義に基づく代表的な組織として、スイス人のアンリ・デュナン1863年に創設した国際赤十字があります。国際赤十字は、戦争でけがをした人を分けへだてなく手当てするほか、降伏するなどして捕虜になった人々がひどい扱いを受けないように見守る活動をしています。自然災害におそわれた人を助けたり、各国の医療水準を高めたりすることにも力を注いでいます。

■人道が最も重要
国際赤十字には「人道、公平、中立、独立、奉仕、単一、世界性」という7つの基本原則があります。
この中でも最も重要な理念は人道です。人道とは「人類に対する積極的な好意の感情」であり、「あらゆる状況においても人間の苦痛をへらし、予防する」ことと国際赤十字は説明しています。赤十字国際委員会の副委員長を務め、7つの基本原則を確立させたジャン・ピクテは次のような言葉を残しています。

赤十字にとっては正しい戦争も不正な戦争もなく、ただ助けを必要とする犠牲者がいるだけである」

「平和はすべての人にとって大切だが、平和を維持する方法や平和の中身についてはほとんど意見の一致はみられない」

戦争と平和の問題を考えるうえで、とても印象深い言葉です。

共同通信編集委員の石山永一郎さん(平成25年11月17日地元紙掲載)