朴念仁の戯言

弁膜症を経て

天国の父と話す孫うらやましい

娘が2人目の子を身ごもった時、父はすごく喜んで男の子を望んでいた。

娘の出産を楽しみにしていたのに、父はその誕生を見ることなく逝ってしまった。孫が生まれ、しばらくたって不思議なことが起こった。当時、1歳3ヵ月だった上の子が突然、部屋の隅を指差して「じい」と言った。

驚いてその方を見ても、誰もいない。誰かいるのと聞いても「じい」を繰り返すだけだった。最初は気味が悪かった。しかし、そんなことが何度かあると「もしかして」と、思いがよぎった。

「じいちゃんが、あーちゃんに会いに来たんだよ。顔を見ないでい(逝)っちゃったから」と娘たちに言った。その後、また指を差した時に、「じいちゃん来たの、あーちゃんは元気な子だよ。見てあげて」と言ってみた。

そんなことを何回か繰り返すうちに、孫は何も言わなくなった。あの世で、きっと気が済んだのだ、というような思いになった。

最近、5歳になった孫が夜また、父と会話をしたらしい。

はじめて一人で泊まった夜のことで、「一人でお泊りできるのか。えらいな」と褒められたという。

幼いときは霊感が強いと聞いたことがある。ちょっぴり孫がうらやましい。私もかなうことなら父と話がしたい。

いわき市原島千恵子さん61歳(平成21年8月14日地元朝刊掲載)