朴念仁の戯言

弁膜症を経て

今月8日に

今月の8日、天皇陛下は国民に異例の「お気持ち」を表明された。
「象徴とは何か」
憲法第1条に、「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基づく」とある。
憲法に象徴行為を示す具体的な規定は為されていない。
なお、天皇の公務として憲法第4条第1項に「天皇は、日本国憲法の定める国事行為のみを行い、国政に関する権能を有しない」とあり、その国事行為は憲法第3条に、「天皇の国事行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負う」とあることから、本来、天皇御自らのご意思で公務を行うことはできない。

今上天皇は55歳で即位され、それ以降、象徴とは何かを自問自答されてきたのだろう。
それが、平成3年7月の雲仙・普賢岳噴火に伴う被災地お見舞いに始まる被災者の慰問、終戦50年・60年・70年に際しての海外戦没者慰霊などに反映されたのだろう。

「国民とともに」

今上天皇は常にこれを第一に心がけ、行動でお示しになってきた。
3.11の震災時には宮内庁側近の心配をよそに、被災者を想い、被災者の立場になって長期間の自主停電に臨み、普段の生活でも紙をコピーする時は古紙の裏面までも使用し、日常から国民の目の届かぬところで質素倹約を実践励行されている。

今回の「お気持ち」表明は、今後、国内の高齢化率が顕著になっていく中、他人事ではない国民一人ひとりへの重い問いかけであり、その答え如何によっては、近い将来、日本の明暗が大きく分かれることだろう。

宮内庁HPの戦没者慰霊の欄に、「忘れてはならない4つの日」がある。
毎年6月23日の沖縄慰霊の日、8月6日の広島原爆の日、8月9日の長崎原爆の日、そして明日15日の終戦記念日
これは、国民が忘れてはならない日である。

慶応4年の一方的な武力討伐に始まる明治維新から現代までの歴史を振り返り、明日、今上天皇が個人として国民へ投げかけられた言葉の意味を思い返してみたい。