朴念仁の戯言

弁膜症を経て

出会い

感謝の言葉

7月22日、Oさんが亡くなった。享年72。 今朝のお悔やみの欄で知った。突然の訃報に驚き、到頭来るべきものが来たかと虚無の風が体を通り抜けた。 人生の節目節目でOさんには感謝の言葉尽きぬほどお世話になった。大学進学時、上京してのアパート探しと引っ越…

露草の声 ⑱

彼が左手に持つ箸の運びは誠に美しく少しも不自然ではありません。やがて彼は荷物の中から二、三葉の短冊を取り出して、私に見せました。いずれも俳句ばかりで、雅味のある千蔭(ちかげ)流と思われる書体も私を悦ばしてくれました。 「あんた、二、三日ゆっ…

露草の声 ⑰

朝も庭に下りたち、露に濡れた草を心地よく踏みながら雑草を取っておりますと、誰やら後ろに人の気配がいたします。後ろを振り向きますと、そこに一人の若い男が立っています。私の草を取っている姿を見ていたらしく、懐かしそうに、黙って丁寧に頭を下げま…