朴念仁の戯言

弁膜症を経て

2019-03-11から1日間の記事一覧

失いしもののために ⑪

ある年の秋、私は例によって朝早く庭に出て草を取っていました。両手のない私とて、足の指先で梅雨にしっとりぬれた杉苔のフワフワとしたなめらかな感触をしみじみと親しみながら、その中から出ている草を根元から引きぬくとき、杉苔の生いたちに障害を除い…