朴念仁の戯言

弁膜症を経て

見えないもの

新型ウイルスは見えない。
この見えないものに今人類は翻弄されている。

人の気持ちもそうだ。
意識して見ようとすればかろうじて目の動き、顔の表情、仕種で読むこともできるが、完全ではない。

新型ウイルスは、「見えないもの」の存在を病状という形で姿を見せた。
人の気持ちも、例えばネガティブな気持ちに囚われた者は、怒りに駆られ、精神に病を来し、意思伝達障害や引きこもり、それらが嵩じると虐待、万引き、薬物常習、殺人など種々数々の犯罪として世に表出する。

経済優先主義、物質至上主義、権威主義、利己主義、排他主義形式主義などに囚われた者は、貧富の格差を増大させ、同調圧力の風潮を蔓延させ、国法を解釈変更し、日本のように集団的自衛権を行使して、あるいは領土獲得を巡り、あるいは他国をけしかけ、核を後ろ盾に、いよいよ最後は誰もが知りつつも愚かにも地球生命が危ぶまれるほどの戦争をおっぱじめる。
戦争か、一時の平和か、そんな危なっかしい綱渡りの時代をいつまで続ける気でいるのか。

金にまみれた東京オリパラ。
新型ウイルスによるWHO(世界保健機関)の勧告を恐れた安倍政権がそれを阻止するために166億円もの税金をWHOへ寄付した事実、それを受け入れたWHO。
参加選手には我欲を捨てて世界をよくよく見渡してほしい。
勝ち負けやメダルが全てか。
何のためにスポーツに取り組んできたのか。
延期になったとしてもそこから学ぶことはあるはず。

新型ウイルスは、見えないものを見ようとすることの大切さと、東日本大震災や数々の自然災害と同様に人間社会の脆さと生のはかなさを教えるために、そして、社会変革の意識の芽生えを一人でも多くの人間に齎すために必然の出来事として起こった、私はそう捉えている。