朴念仁の戯言

弁膜症を経て

今生の課題

蟲が身体に棲息するようになったのは何時頃からか。

蟲が動き始めると訳の分からない感情が湧き起こる。
些細な事に不機嫌になり、沸々と怒りを覚え、口を閉ざす。
そして、寄らば斬るのベールを纏う。
そのベールを払い除け、他人がズカズカと入り込めば、すかさず三白眼で睨み付け、角立つ物言いで追い払う。

些細な事柄に不機嫌な感情を覚えるのは我なりにそれなりの理由があってのことだが、客観視すれば些細な事象に違いなく、些細と認めた時点でそれを言挙げしている自分の卑小さも認められ、それが更に蟲の動きを活発にする。

昨日、身内との会話で蟲の動きを察知した。
身内は私の感情の機微に気付いたはずだが、素知らぬ風に見過ごした。
身内の、当の本人は露ほど思っていないだろう温かな寛容さに、蟲は静かに動きを止めた。

今生の課題一つは、この肚の蟲を治めることだと思い知れ。