朴念仁の戯言

弁膜症を経て

生き証人を懐古

戊辰戦争から150年を迎え、白河市でも様々なイベントが行われています。
街には〝仁義〟の文字があちこちに見られます。
仁義を胸に戦った先人たちの思いに、深い感銘を受けるばかりです。

わが家にも戊辰戦争にまつわる言い伝えが残されています。
6月24日、棚倉城落城の折、曾祖父が戦渦に巻き込まれた少女をかわいそうに思い、家に連れ帰り、育てたとのことです。
戦場で両親を失い、泣いていた少女の名はマスといい、当時6歳。
彼女は、同じ境遇にあった少年と一緒に育てられたそうです。
晩年は、「おマスばあさん」と周囲から親しまれ、幼い頃の私も優しくかわいがられたことが、今でも心に残っています。
おマスさん自身に子どもはいなかったので、生前の彼女を知るのは、今となっては私一人となってしまいました。

幼くして両親を失った悲しみは、計り知れません。
この機会に改めて、おマスばあさんの冥福を祈り、私のせめてもの仁義の証となれば、と思っています。

白河市の小松美津子さん83歳(平成30年6月19日地元紙掲載)