朴念仁の戯言

弁膜症を経て

お隣の独居老人 覚悟の旅立ちか

一昨年の年の暮れ、お隣の独居老人が救急車の要請や警察、市の福祉課職員の呼び掛けにも応じないので、ドアの強制解除となった。
最悪の覚悟をしていたが、生きていてほっとした。
しかし誰が見ても栄養失調と分かるので、「病院に」と言っても、こたつ布団にくるまって断固拒否。
「本人が行かないと言っているのを強制はできない」と解散となった。
放っておけない私は、部屋に山のようになっているごみを4人がかりで半日かけて撤去した。
温かい飲み物、次に食べ物と運んで、次第に打ち解けるようになっていった。
昨年は、春と秋の除草作業にもその老人は参加するほどになった。
しかし今冬の寒さのせいか、また回覧板が滞るようになった。
1月は管理人さんと私で合わせて16袋のごみを捨てた。
2月末、「○○さん」と声を掛け、ドアを開けても返事がない。
部屋に行ったら倒れていた。
脈をと思ったが、冷たかった。
警察に通報し、3日前に死亡とのこと。
事件性はなく餓死だという。
食事を取らなかったのは覚悟の自殺なのか。
合掌した。

福島市の小田秀子さん64歳(平成30年3月22日地元紙掲載)