朴念仁の戯言

弁膜症を経て

あの世の私の母 義母をお迎えに

お盆の行事が終わってホッとしていた夜、「奇跡の霊能者・・・」という番組が流れた。
見て50年も前に本当にあった不思議な体験を思い出した。
義母ががんの手術をし、一時は普通の生活に戻れたが、再発し入院した。
死期が近づいていた時、義母が突然「お母さんが来ているよ」と言った。
「誰のお母さん?」と聞き返すと、「文子のお母さん」とはっきり言った。
驚いたが本気にせず、「よろしく言ってください」と返事をしておいた。
程なくして義母は息を引き取った。
「あの世からお迎えが来る」という話は聞いたことがあるが、私の母が義母を迎えに来るとは・・・。
実は、母とは私が18歳の時に死別している。
私が誰と結婚したかなど知る由もないのだ。
あの世ってどんな世界なんだろうか。
あちらへ行けば分かるのだろうか。
でも、まだ行きたくはない。
50年経っても、あの時、病室で交わした会話は、耳から離れることはない。

※相馬市の塚本文子さん80歳(平成29年9月16日地元紙掲載)