朴念仁の戯言

弁膜症を経て

世界は植物で創造

世の中の中心は人間であると、人は時折思い違いをする。
だが、言うまでもなく、今の世は植物が中心となって創造してきたものだ。
全ての生き物は、そのおかげで生きていられる。
植物は無機物や光から有機物を作ることができ、その産物は多くの生物を養っている。
光合成は生命界で最大の偉業と言うべきだが、植物の祖先はそれを35億年も前に編み出し、今日のような世の中を創造してきた。
今、世の中にある多くの事物は、植物の光合成によって生まれてと言っても過言ではない。
食料をはじめ、紙や衣類、洗剤や薬、道具や家など、目にする多くの物のもとは、植物が光合成により生み出したものだ。
産業、経済、宗教、芸術、文化も植物なしには成り立たない。
それだけでなく、目に見えない酸素やオゾンも光合成の産物だ。
私たちの心身の健康は植物によって支えられている。
「葉」という字は、くさかんむりと木の間に世があると書く。
まるで植物に囲まれて世の中が成り立っていることを象徴するかのような漢字だ。
この文字が生まれたころ、人と植物(自然)はきっと今よりもずっとそばに寄り添って生きていたのだろう。
植物からのメッセージが文字に込められているような気がしてならない。

ガーデンデザイナーの神田隆さん(平成26年10月30日地元紙掲載「自然な暮らしと庭づくり」より)