朴念仁の戯言

弁膜症を経て

生命の主体は心 脳死=死認めず

改正臓器移植法が17日に全面施行になった。生前の本人の臓器提供意思が不明でも、家族の承諾で脳死移植ができるようになる。また、これまで15歳以上の年齢制限が取り払われ、0歳から臓器提供が可能になる。
脳死移植反対派の私には、脳死移植を普及させることが医療の前進だとは思えない。母を一ヶ月近い脳死状態でみとった経験のある私には、脳死の人間を「死体」と見なすことなどとてもできない。
医学的には脳の思考機能が失われ、考えることができないとされる脳死の母が、私の悲しみの感情に合わせて何度も涙を流した。死人が泣いたりはしない。
福島県内でも、毎年何例かの脳死症例が出ているはず。ドナーカードを持たず、提供意思が明らかでない症例すべてが臓器提供の対象になる。15歳未満の子どもの30日以上の長期生存率は2割近くに及ぶ。それは、限りなく脳死から蘇生する可能性があるのを示している。
脳は、意思を伝達するコンピューター機能にすぎない。キーボードをたたく「心(魂)」こそが生命の主体。脳死は決して人の死ではあり得ない。
高知市の小松憲司さん51歳(平成22年7月25日地元紙掲載)