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朴念仁の戯言

弁膜症を経て

善人なおもて往生す、いわんや悪人をや

母が鼠径ヘルニアの手術で入院した。

手術日は5月16日だった。

妹は前日から母に付きっきりで、朝は病院で朝食が出る前から病室に出張り、夜は母が夕食を食べ終わるのを見届けてから家路に着いた。

その間、細やかな配慮は休むことがない。

妹のその姿から献身という言葉が頭に浮かび、人に尽くすとはどういうことか、私にありありと教え示す。

と同時に、妹の清らかな無心の行動は私のひねくれた心をあぶり出し、私を不快にさせる。

男女の違いで気が利く利かないは関係ない。

その気があるかどうか。

男女の前の一人の人間としてその気を起こそうとしない己に反吐が出る。

手術後の不自由な体の母へ、労わりの言葉の代わりに小言を発する私。

母が年老いてゆくことへの無性の怒りと愛しさがごちゃまぜになって。

妹よ、ありがとう。

弟よ、ありがとう。

私は愚かな悪人です。