朴念仁の戯言

弁膜症を経て

大統領令 差し止め命じた判事

弱者に寄り添う人権派

【ロサンゼルス共同】
米西部ワシントン州シアトルの連邦地裁でイスラム圏7カ国からの入国を禁じる大統領令の一時差し止めを命じ、一躍「時の人」となったジェームズ・ロバート判事(69)は、難民や障害のある子ども、黒人ら社会的弱者に寄り添う人権派として知られている。
米メディアによると、同州シアトル生まれのロバート氏は30年以上法律事務所で勤務後、当時の共和党ブッシュ大統領(子)の指名で、2004年に連邦地裁判事に就任。本人も共和党を支持していたという。かつての同僚は「とても慎重な判事。法の解釈は保守的だったが思い切った適用をした」と話す。
ロバート氏はシアトルで精神障害のある子どもらのケアをする施設の代表も過去に務めており、妻と共に6人の子どもを養子に迎えている。東南アジアからの難民の弁護も長年無料で引き受けていた。
警察の黒人に対する行き過ぎた武力行使が全米で問題視されていた2016年、法廷で、人口に占める黒人の割合が約20%なのに警察の発砲で命を落とした人の41%は黒人だと指摘。黒人の人権尊重を求める合言葉「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命だって大切だ)」を述べ、話題になったこともあった。
上院から連邦判事の承認を受けた際は「差し迫った必要性や問題を抱えた人を助けられることが、法の執行の最もやりがいのあるところだ」と述べ、「 法廷を後にした人に、公正な裁きを受け、自身も法体系の一員として扱われたと思ってもらえるような仕事をしたい」と抱負を語っていた。

平成29年2月7日地元朝刊掲載