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朴念仁の戯言

弁膜症を経て

大切な庭の仲間

『オーガニックガーデンのすすめ』6

梅雨のひと雨ごとに、ぐいぐいと成長する草木。目を凝らせばこの時期、葉の裏に、枝の陰に、いろいろな虫がやって来る。虫を嫌う人は多いが、虫を知ることはオーガニックガーデンづくりの第一歩。人間以外の生き物の声が聞こえるという『きき耳ずきん』をかぶったつもりで、庭に暮す彼らの声を想像してみると…。
「まず手近な雑草を食べる。雑草がなければ、きれいに植えてある花壇の花を食べるのさ」と、得意げに言うのはナメクジ。
アリたちは「巣を全滅させようと薬を置く人がいるけど、私たちがいなくなると、すぐにシロアリがやってくるわよ。なんていったって、私たちはシロアリの天敵なんだから」と自信ありげだ。
「そんなことをいったって、木の幹に穴をあけているじゃないか!」と人間が言えば、「私たちは木くずと一緒に、木を腐らせる腐朽菌(ふきゅうきん)も運び出して、お掃除しているのよ。木はそれ以上、腐らないように、防御壁を作りやすくできるんだから!」と反論する。
春、満開の花を楽しませてくれたソメイヨシノも、今では緑の葉を茂らせ、ぽつりとこんなことを言ってアリを弁護する。「私はアリの好きな甘い汁を出す花外蜜線(かがいみつせん)を葉の付け根にもっています。これでアリを呼んでボディーガードになってもらい、虫の卵を食べてもらったり、生まれたての芋虫や毛虫を退治してもらったりしています」
そこへ、アブラムシが割って入る。「私たちもアリに守ってもらっているんだけど、私たちが増えすぎたり、甘露を出さなくなってしまうと、アリに食べられちゃうのよ」
ダンゴムシとワラジムシも声をそろえる。「植木鉢の底にいる私たちを見て、『大事な草花を食べている』と人間は言うけれど、それは誤解です! 私たちは枯れた葉や元気のない葉しか食べません。そうやって、要らなくなった葉を分解して、土を豊かにしているんです」
オーガニックガーデンでは、虫も雑草も大切な庭の仲間。声なきものの声に気づいたとき、庭は「地上の楽園」に見えてくる。

(オーガニックガーデンプランナーの曳地トシさん)
※平成20年6月26日地元朝刊別紙タイム掲載