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朴念仁の戯言

弁膜症を経て

節句

『日本人の美学5』

わが国には昔から五節句を祝う行事があります。近ごろではこの行事を考え違いしている人が多いようです。
節句は一年間に五回あります。一月一日「正月」、三月三日「ひな祭り」、五月五日「端午」、七月七日「七夕」、九月九日「重陽」。この陽の数字が重なる日を節句として、唐の時代に定められ、日本に伝えられたといわれています。
季節の変わり目に、不浄を清め忌(い)み慎んで神をまつる節目でした。このときに神にささげる供御(くご)のことを節句といい、このときの料理がお節料理となりましたが、今では正月料理だけを、お節料理と思っている人が多いようです。
これと同様に「家に孫が生まれたけれど、男子だからひな祭りはない」「女の孫だから端午の節句の行事はしない」などの言葉を耳にしますが、五節句は家族そろって神仏に無事を祈る行事です。この行事がなくなりつつあるのは寂しいことです。
わが国の伝統行事は、日常生活の中で医術などのない時代に、神仏に祈ることしかなかったころから伝えられた生活の知恵と優しさがあると思います。
今では道祖神に祈る人の姿を見ることも少なくなりました。町も村も開発されて便利になったのは良いことですが、神仏に祈る心が忘れ去られた昨今です。
この五節句を若い人たちが理解して受け継いでくれることを願っています。
小笠原流礼法第32世宗家直門総師範の菅野菱公さん)平成20年6月3日地元朝刊より。