朴念仁の戯言

弁膜症を経て

医療

かけがえのない経験

骨髄ドナーの実態知って 白血病などの治療の難しい血液疾患を治すための骨髄や末梢血幹細胞の移植は、提供者(ドナー)の慢性的な不足が課題となっている。「提供の実態がまだまだ知られていないのでは」とドナーを体験した俳優の木下ほうかさんは語る。 ▶き…

生きてほしかった

枕元の寄せ書き 百合ちゃんの頭蓋骨に骨肉腫が見つかったのは、1歳の時だった。国立病院での放射線治療後は、小学5年生まで元気に過ごしていた。鎌倉の大きな家でピアノのレッスンに励み、コンクールで表彰されたこともあった。 12歳の時、骨肉腫が再発した…

納屋にこもった老人

人生の意味 「ずっと納屋に閉じこもっている弟がいるんだ」宮古島のサトウキビ農家の、腰痛で歩けないため訪問診療していた千代さんの夫から相談を受けた。宮古島の大抵の農家には前庭に大きな納屋がある。弟の長英さんは69歳、終戦の5年後の20歳ごろから様…

生きることは幸せか

壊れていった家族 宮古島の官庁街にほど近い集落に住んでいた42歳のひろ子さんが連絡をくれたのは、訪問診療の患者が増えてきた頃だった。「私がこうなったのは、祟りのせいだと医者に言われた」と、ろれつの回らない島のなまりで言った。 ひろ子さんは数年…

大きく開いた目

独りで逝った人 診察室に、死んだ獣のような臭いが漂っていた。診療ベッドにうずくまって背中を丸めていた女性が振り返った。「飯田さんですね。担当の泰川と言います」彼女は脂気のない黒髪の中からギラギラした大きな目をのぞかせて、真っ直ぐに俺を見た。…

重症患者と取り残されて

諦めていい命? 1989年、東京女子医科大に新設された救命救急センターは戦場のような忙しさだった。大学を出た俺は、研修医として最初の4カ月をここで過ごした。患者は途切れなく運ばれてきた。2、3日眠れずに連続勤務することが多く、休日はなかった。先輩…

際立つ日本女性

今回は脳の進化と生物についてです。人の脳は生物の進化の過程に応じ3層構造になっています。 まず人の脳で最も深層に存在するのは、呼吸や生殖など個体と種の保存に関わる「爬虫類脳」で、中脳や脳幹、脊髄に当たります。 次に中間層の大脳辺縁系には喜怒哀…

生命の主体は心 脳死=死認めず

改正臓器移植法が17日に全面施行になった。生前の本人の臓器提供意思が不明でも、家族の承諾で脳死移植ができるようになる。また、これまで15歳以上の年齢制限が取り払われ、0歳から臓器提供が可能になる。脳死移植反対派の私には、脳死移植を普及させること…

人間弾圧の象徴、復元を

歩み来て、未来へ ハンセン病重監房 足元にある食事の差し入れ口から骨と皮だけの手が突き出ていた。それが右に左に泳ぐ。しゃがんで声をかけた。「飯だよ。早く引っ込めて」。「あぁ?」。独房から男の声がして、一瞬、手の動きが止まった。だが、また宙を…

医師の嘆き 自業自得

『医療漂流5』萎縮の現場から ※平成20年4月25日地元朝刊より。 神奈川県大和市にある大和成和病院は、中規模ながら心臓血管外科の分野で高い専門性を持つ医療機関として知られる。院長の南淵明宏医師(50)が手掛ける心臓外科手術は年に200例近く。国内で突…