朴念仁の戯言

弁膜症を経て

見直される俳句の力

震災詠と戦争詠 究極の詩型の強み ー沈黙の量ー2月24日、東京のホテルで開かれた読売文学賞贈呈式。詩人の高橋睦郎さんが選考委員代表として壇上に立った。「3.11という深刻な事態に対し、散文も詩も短歌もしゃべりすぎ。俳句だけがその詩型の宿命上、含み込…

壁を乗り越える

「今の子どもたちは打たれ弱い。その理由の一つとして考えられるのは、この子たちは海で泳ぎを習わず、プールで習ってきているからだ」と言った人がいます。つまり、波にぶつかる機会がないまま育ってしまったために、世間の荒波にぶつかった時に対処できな…

ビートたけしが震災直後に語った「悲しみの本質と被害の重み」

なによりまず、今回の震災で被災された方々には心よりお見舞い申し上げます。こんな大惨事になるとは思ってもみなかった。 ちょうど地震の時は調布のスタジオで『アウトレイジ』続編の打ち合わせをしててさ。オイラ、普段は大きな地震でも平気な顔して座って…

99歳 熱い「たいまつ」

今年1月に99歳を迎えたむのたけじさんは、「反骨のジャーナリスト」と呼ばれることに抵抗を覚えることがあるという。理由を、著書「九十九歳一日一言」(岩波新書)で次のように書いている。「『反骨のジャーナリスト』というのは『空の色をした空』みたいな…

始めの一歩

江戸時代、堺の町に吉兵衛という人がいました。商売も繁昌していたのですが、妻が寝たきりの病人になってしまいました。 使用人が多くいたのにもかかわらず、吉兵衛は、妻の下の世話を他人に任せず、忙しい仕事の合間を縫って、してやっていました。周囲の人…

1977(昭和52年)2月14日 青酸コーラ事件

大阪で男性がたばこ自動販売機の上に置かれたコーラを飲み意識不明で入院、この日、瓶から青酸反応が出た。東京の青酸コーラ事件から約一ヶ月。男性は「格好が悪い」と、退院後に自殺。直後から毒入りチョコ事件が相次いだ。 ※平成26年2月14日地元紙掲載

自然環境の保全 最優先に考えて

ラジオで予算委員会の中継放送を聞いていた。東京五輪のカヌー競技場が葛西臨海公園に建設されることを知った。ここは東京随一の野鳥の宝庫で、多様な生態系が形成されている。質疑を聞きながら、沖縄の基地問題での辺野古埋め立てが思い浮かんだ。埋め立て…

仕事と私

「何を考えながら、仕事をしていますか」突然、背後から英語で問いかけられた私は、手早く皿並べの手を止めて、「別に何も」と答えました。すると返ってきたのは、厳しい𠮟責。「あなたは時間を無駄にしています」アメリカのボストンで修練者として生活して…

ソチ五輪に行かないで

釈放の女性バンド訴え 【ニューヨーク共同】ロシアのプーチン大統領を批判するパフォーマンスをして実刑判決を受け服役、昨年末、釈放された女性バンド「プッシー・ライオット(子猫の暴動)」の2人が5日、ニューヨークで記者会見し、ソチ冬季五輪観戦旅行に…

潤い

マザー・テレサの修道会の仕事の一つに、貧しい人たちへの炊き出しがあります。日本なら、さしづめ、おにぎりと味噌汁、外国ならパンとスープを、列を作って並んでいる空腹を抱えた人たちに渡してあげる仕事です。 夕方、仕事を終えて修道院に戻って来るシス…

母子手帳で知った愛

心に響くメッセージとともに、ユーモラスな鬼の絵を描く画家、しの武さんがエッセー「もう、なげかない」(小学館)を出版した。波瀾万丈の半生から生まれた、温かい人生哲学が胸を打つ自叙伝だ。「私は母の顔を知らないんです」と話すしの武さん。実母は、…

死者を偲ぶ

17歳の暮れでした。カトリックの洗礼を受けてもいいかと尋ねた私に、母は大反対し、その理由の一つとして、戦争中にバタくさい宗教に入ることはないと言いました。二つ目の反対理由は、宗旨が違ったら、浄土真宗で亡くなった父をはじめ、ご先祖様への供養が…

浮世のはかなさ 浮かぶ雲に思う

ふわっと浮かぶ雲にあれこれ連想しながら、浮世のはかなさに浸っている。畑の雑草とは休戦中の安らぎの中で、つかみどころのない不安に駆られるのは数え86歳の故でしょうか。亡き母を偲べば、89歳の坂は越せなかったが、「86になってみな」と言っていた。そ…

人生を変えた言葉

まだ20代初めの頃のことでした。戦争に負けた日本で、働き手のいない旧軍人の家庭は、経済的に苦しく、アルバイトをしながら大学を卒業した後、私は7年間キャリアウーマンとして、アメリカ人相手の職場で働いて家計を助けていました。 4人兄弟の末っ子だった…

壊れたボイラー

昨年、家のボイラーに火がつかなくなりました。燃料がないのかと思ってタンクを見ると、確かに入っています。義父の33回忌法要を二日後に控えていたので、泊まる人たちが風呂に入れないでは困ると、がっかりしました。いつも世話になっている鉄工所に頼んで…

宝物

アメリカにいた時のことです。ある高等学校で生徒たちに自分の宝物を持って来させ、皆の前で、なぜ、それが宝物なのかを発表させてことがありました。 生徒たちは思い思いのものを持ち寄り、説明します。誇らしげに、「これは高価な宝石なんだ」「外国からの…

潜伏30年

終戦を信じず、フィリピン・ルバング島に潜み、部下と共に戦い続けた。16日に都内の病院で91歳で死去した元陸軍少尉、小野田寛郎さんは「頑固な性格」を自負。「だから30年も戦ったですよ」情報将校を養成する陸軍中野学校二俣分校で培った記憶力と頭の回転…

神の呼びかけ

旧約聖書の中には、神が度々、預言者たちに呼びかけて、なすべきことを示しておられる様子が記されています。 新約聖書では、「私についてきなさい」というキリストの呼びかけに応じ、12人の弟子たちはキリストに従いました。聖パウロはダマスコへ行く途中で…

停車場にて

明治26年6月7日 昨日、福岡からきた電報によると、同地で捕えられた重罪犯人が、今日、正午着の列車で、裁判のため熊本へ護送されてくるという。熊本の巡査が一人、囚人を連れてくるために福岡へ出向いていた。4年前のこと、ある夜、一人の強盗が相撲町のあ…

原発推進「不気味な足音」

現役キャリア官僚の覆面作家 若杉冽氏に聞く 現役キャリア官僚の覆面作家若杉冽さんが、原発再稼働に突進する政官財のトライアングルを描いた告発小説「原発ホワイトアウト」(講談社)が昨年9月の発売以降、好調な売れ行きを続けている。小説は、エネルギー…

古い自分を捨てる

私が18歳の時に洗礼を受けたのは、我ながら愛想のつきた自分が新しく生まれ変わりたい一心からでした。その頃、日本は戦争中で、浄土真宗という家の宗教の関係もあって、母は洗礼を許可してくれませんでした。 毎日毎夜の空襲で、いつ死ぬか分からない日々を…

時を待つ

「待てば海路の日和というから」と言って、イライラする私に、時を待つことの大切さを教えてくれたのは母でした。 長じて、聖書を読むようになった私は、「天の下の出来事には、すべて定められた時がある」というコレヘトの書(3・1)の中に「神のなさること…

滅相

「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。淀みに浮かぶうたかたは、かつ消えてかつ結びて、久しくとゞまりたる例なし」 『方丈記』冒頭の有名な一文である。生じたものは必ず変化し滅びるものである。しかしながら自己中心的に生き、果てしない…

まわり道をしても…

幼い頃の私たちに、母はよく諺を使って教えてくれました。その一つに、「急がばまわれ」というのもありました。急いでいるのなら最短距離を行けばいいのになどと、学校に通い始めた頃の私はそう考えたりしていました。 太平洋戦争がはじまり、私は聖心女子専…

金輪際

「もう金輪際あなたの顔は見たくない」面と向かって言われた人は多くないかもしれない。いや、もはや使われることがなくなった言葉かもしれない。今なら「絶対に見たくない」「何があっても見たくない」と言うところか。 この「金輪際」、古いインドの世界観…

人生は学び

私が大切にしている言葉の一つに、「我以外、皆師なり」があり、宮本武蔵が用いたと言われています。 私の父は、陸軍では高い地位にまでのぼり、2・26事件で殺されましたが、その学歴は小学校の4年でしかありませんでした。それ以降は、養子にもらわれた家が…

覚悟

最近の日本にはよく分からないことが多過ぎる。酩酊会見の大臣もそうであるが、ものの考えに取り留めがなく、緊張感もなく、浮ついている。この国の行く末が案じられる。書店には「経済が、絆が、国が壊れていく。ついに覚悟を決める時が来た」という宣伝文…

健康の秘訣

古来、常識として健康の秘訣に、早寝早起きすること、暴飲暴食を避けることなどが挙げられています。ところで、体の健康と同様に必要なのは心の健康ではないでしょうか。 私が実行している心の健康の秘訣は「発想の転換」にあります。二つの例を挙げてみます…

母の記憶

「あれまあ、しろ、こんな所につながれて」洗濯物を干しに裏庭に出た母が、日ざしを避けて居場所を木陰に移された犬に話しかけている。近年、痴呆症のすすんだ母は、庭に出ると大きな声で犬に語りかけるようになった。 母が家内に寺の坊守の役目を譲ってから…

「そうかもしれない」

保健所の植え込みの中で震えて鳴いていた「しろ」を拾ってきてからもう11年になる。 その頃私は気分の落ち込むことの多い日々を送っていた。高校と中学に通っていた息子と娘が、自分たちの生活に意味を見いだせず、生きてゆく気力を失いかけているように見え…