朴念仁の戯言

弁膜症を経て

覚悟

最近の日本にはよく分からないことが多過ぎる。酩酊会見の大臣もそうであるが、ものの考えに取り留めがなく、緊張感もなく、浮ついている。この国の行く末が案じられる。書店には「経済が、絆が、国が壊れていく。ついに覚悟を決める時が来た」という宣伝文…

健康の秘訣

古来、常識として健康の秘訣に、早寝早起きすること、暴飲暴食を避けることなどが挙げられています。ところで、体の健康と同様に必要なのは心の健康ではないでしょうか。 私が実行している心の健康の秘訣は「発想の転換」にあります。二つの例を挙げてみます…

母の記憶

「あれまあ、しろ、こんな所につながれて」洗濯物を干しに裏庭に出た母が、日ざしを避けて居場所を木陰に移された犬に話しかけている。近年、痴呆症のすすんだ母は、庭に出ると大きな声で犬に語りかけるようになった。 母が家内に寺の坊守の役目を譲ってから…

「そうかもしれない」

保健所の植え込みの中で震えて鳴いていた「しろ」を拾ってきてからもう11年になる。 その頃私は気分の落ち込むことの多い日々を送っていた。高校と中学に通っていた息子と娘が、自分たちの生活に意味を見いだせず、生きてゆく気力を失いかけているように見え…

迷い

「迷いに迷った挙句、産みました」かわいい赤ん坊を抱いて報告に来た卒業生の顔には、苦しみを経験した人にのみ見られる明るさと、大人びた表情がありました。 中絶をすすめる周囲からの圧力、産むことによって生じる経済的負担、仕事と育児の両立の難しさ等…

毒性

日常ではほとんど聞かれなくなったが、上方落語などでしばしば耳にする。「どくしょうな目におうた」「どくしょうなことを言いよる」と言った使われ方で、程度のひどいことや毒々しいことを意味している。人に対して用いられる場合もあり、「どくしょうな人…

アフリカの経験を小説に

47歳、無職。全財産は9万5千円。第117回文学界新人賞を受賞し、「拾っていただいて本当に感謝しています」と述べた前田隆壱さんの声には、実感がこもっていた。賞金は50万円。「全部つぎ込んで、次の作品を書きたい」と、作家の道を歩みだした。 兵庫県姫路…

障がいを乗り越え 数学を教えたい

私は統合失調症です。19歳の時に診断されました。でも何とか山形大学理学部数学科を卒業し、特別支援学校の臨時講師や光学プリズムの製造所などに勤務しました。 もう51歳。今は実家の農業を手伝っています。このまま一生を終えてもいいのですが、「男子一生…

先輩に倣う

私は、東京の吉祥寺にある成蹊小学校を卒業してから、四谷の雙葉高等女学校に入学しました。家は浄土真宗でしたが、父が2・26事件で殺されたこともあり、母としては、宗教的雰囲気の中で育つようにと願って、通わせたのかも知れません。 「先輩」などとお呼…

特定秘密保護法案 俳優 菅原文太さんに聞く

戦前想起「異様な感じ」 俳優の菅原文太さん(80)が24日までに、共同通信の取材に応じ、特定秘密保護法案について「異様な感じで受け止めた。先の戦争の片鱗が影絵のように透けて見える」と強い危機感を示した。「あの不幸な時代を繰り返してはならない」と…

安らぐことで病遠ざける

人が持つ「気」 「病は気から」という諺がある。「病気は気の持ちようによって、良くも悪くもなる」という意味で使われることが多いが、東洋医学では「病気は、気の乱れによって起こる」とされ、「気」は人それぞれが持つエネルギーのようなものを意味する。…

入院時にいじめ 厚顔無恥に怒り

昨今では病院にもいじめが巣くっている。先日、ある病院に認知症の母の入院に付き添った。 4人部屋の4人目として入室した際、先に入院していた方にあいさつを忘れたことでも不快だったのか、認知症ゆえの母と私のいささか幼稚な会話をあげつらい、3人でひそ…

博愛主義 人々を救う

「7原則」基に世界で活躍戦争は正義と正義がぶつかり合うときにしばしば起こります。ある人によっては絶対にゆずれない「正しいこと」であっても、別の人にとっては、まったく正しくないと思える問題はよくあります。国や民族の間で、このような「正義をめ…

犯人への共感 原動力

「誘拐」をドラマ化 1963年に起きた「吉展ちゃん誘拐事件」を描いた本田靖春のノンフィクション「誘拐」を読んだ時、「これは絶対に自分が撮らなければならない」と思った。〝戦後〟という同じ時代を生きた一人として、犯人の小原保に強い共感を覚えたからだ…

日大アメフト問題

加害選手の記者会見でその会見ぶりが称賛されているが、私はそうは思わない。 物事の分別付かぬ小学生でもあるまいし、ある程度の社会見識とそれなりのスポーツ歴のある大学生が、監督、コーチに追い込まれたから危険行為に及んだとの言い分は、責任逃れ、責…

平常心

「シスターの心にも波風が立つ日がおありですか。いつも笑顔ですけれども」 大学生の一人の質問に私は答えました。 「ありますよ。他人の言葉や態度に傷ついたり、難しい問題にぶつかって悩んだりする時に、平常心を失うことがあります。ただ、自分の動揺で…

人間の愚かさ

連日、世間を騒がせる事件が絶えない。一見して他人事のように思いがちだが、誰も彼もがいついかなる時に被害者、加害者になるか知れたものではない。「何を戯けたことを。誰が加害者になるものか」大方の人間は、言下にそう否定するだろう。そして、内に棲…

母の日に思う

いつ頃からあるのか知らないが、社会への免疫力少ない小学生時分、母の日・父の日の訪れは私に嫌悪感を抱かせた。 クラスの連中の視線を好奇の矢のように感じ、みじめに、哀しみに沈んだ。 片親、もしくは両親のいない子どもたちの気持ちを汲み取らず、しか…

ネギと人間

韓国の民話にネギと人間にまつわるものがある。人間がネギを食べなかった頃の話。 どうかした拍子に人間が牛に見えてしまう時がある。すると人々は牛だと思って人間を殺して食べてしまう。ある時、ある男が自分の兄弟を牛と見違え、早速殺して食べてしまった…

一致を願う

柴生田稔(しぼうたみのる)という近代歌人の詠んだ歌です。 今日しみじみ語りて妻と一致する 夫婦はついに他人ということ 時間をかけて、しみじみ妻と語り合った結果、一致に到達した。その結論は、夫と妻は夫婦であるが、お互いに〝他人〟であることを忘れ…

目指すべきもの

以前アメリカに住んでいたある日本人から次のような話を聞いたことがある。在米中、彼女の子供はアメリカの小学校に通っていたが、いつも、その子は活発で指導力のある良い子だとほめられていた。しかし、その子が通っていた日本語学校では逆に、常に落ち着…

時代が生んだ暴力描く

本田靖春との共通点 後にフリージャーナリストとなった本田靖春は、都立千歳高校の同級生だった。高校1年のときにぼくが務めた生徒会長を、高校2年で本田が引き継ぐことになったが、まだこのころはそれほど親しかったわけではない。ただ、戦後の独特の空気を…

子どもに手本を

文房具類を万引きして捕まった子どもに、父親が言ったそうです。「お前は馬鹿だなあ。このぐらいのものなら、いくらでもパパが会社から持って帰ったのに」 子どもは、親や教師の言う通りにはなりませんが、親や教師のする通りになります。ですから、子どもに…

無縁

「無縁社会」という言葉で最近よくに耳にするようになった「無縁」。地縁や血縁が希薄になり、「孤独死」する人が多くなった現代日本の大きな問題として取り上げられている。「無縁死」という言い方まで出てきた。 すでに「無縁墓」や「無縁仏」という言葉も…

暴力の連鎖変える道標

ライファーズ 坂上香著 人は変わることができる。サンクチュアリ(安全な場所)と、話を聞いてくれる仲間でいれば、暴力の連鎖は回復の連鎖に変わり得る。米国の刑務所や社会復帰施設で、犯罪者の更生プログラムで行ってきた民間団体アミティ。17年間の取材…

障害者が働ける法と環境整備を

私は若いころから転職を繰り返していました。車の大型免許を持っていたことから、30歳を過ぎて運送会社に就職し、8年ほど勤めました。 もっと勤めたかったのですが、性格が災いしたのか病気になってしまい緊急入院しました。何とか落ち着いた時に、医師から…

生き残った使命 原動力

一行の背後に膨大な努力がある。山崎豊子さんの書くことへの執念はすさまじかった。原動力となっていたのは、戦争で生き残ったことに対する罪障感と使命感だ。 2010年の冬、堺市の自宅を訪ねた。山崎さんはその数年前から全身が痛みに襲われる原因不明の病に…

人は魂そのもの 心臓停止し実感

以前に心筋梗塞のためカテーテル手術を受けている最中、心臓停止状態になりました。 心臓が止まった次の瞬間、私は素晴らしい世界にいました。辺り一面、絹綿色のまばゆい世界で、すがすがしく爽快感に満ちあふれた光の世界でした。 私は即座に「俺はここか…

「ゆっくり、はっきり」で思い伝える

デジタル化による語彙力の低下、氾濫するカタカナ語や歌手・音楽グループ名などに見る意味不明の横文字使用等々、昨今の言葉と言葉づかいには気になることが多いのですが、ここでは、次の二つを取り上げてみます。 ■早口症候群(?)の蔓延時代のテンポがぐ…

際立つ日本女性

今回は脳の進化と生物についてです。人の脳は生物の進化の過程に応じ3層構造になっています。 まず人の脳で最も深層に存在するのは、呼吸や生殖など個体と種の保存に関わる「爬虫類脳」で、中脳や脳幹、脊髄に当たります。 次に中間層の大脳辺縁系には喜怒哀…